コラム

※太字は香港スプリント出走予定馬
※12月9日(金)時点での情報を基に作成

現地評論家が見る香港スプリント 「今年も香港馬による上位独占までありそうな状勢」

今年の香港スプリントは、香港調教馬のレーティング上位5頭(香港馬は計7頭が出走予定)が、海外から遠征してくる7頭を迎え撃つというメンバー構成となった。このレースの距離は2006年に、それまでの芝1000mから芝1200mに変更になったが、以降の10年のうち7年で地元を代表して走った馬が優勝している。香港を拠点としているスプリンターの水準の高さに加えて、ホームコースで戦えるという利点がある以上、今年も香港馬による上位独占までありそうな状勢だ。

オーストラリア産で、父セブリング、母バブルビロウ(その父ユソネット)というラッキーバブルズ(せん5歳)が、このレースにおける地元最大の期待馬であることは間違いない。今年1月の香港クラシックマイル(香LG1、芝1600m)で4着に敗れた後、この馬を管理するフランシス・ルイは、香港4歳シリーズを歩ませることを諦め、この馬を短距離路線に専念させることを決断。その後にラッキーバブルズは、瞬く間に、香港でも最良のスプリンターの1頭として台頭した。彼のこれまでの最良のパフォーマンスは、今年5月のチェアマンズスプリントプライズ(G1、芝1200m)で、当時、ロンジンワールドベストレースホースランキングの芝S部門(芝1000〜1300m)で首位の座にあったシャトークアの2着となったレースである。彼は今シーズン初戦となった10月のプレミアボウル(G2、芝1200m)を白星で通過。続いて出走したのは、このレースへ向けた香港調教馬の代表的な前哨戦であるジョッキークラブスプリント(G2、芝1200m)で、ここでは人気薄だったノットリスニントゥーミー(せん6歳)の2着だった。騎乗するブレット・プレブルは、香港スプリントを過去10年で3回(2006年のアブソリュートチャンピオン、2009年のセイクリッドキングダム、2011年のラッキーナイン)制している。自身4度目の優勝へ向け、最高の騎乗を見せてくれるはずだ。一方、ラッキーバブルズが勝てば、管理するフランシス・ルイ調教師にとっては、初めてのG1制覇となる。

  • ラッキーバブルズ(12月9日撮影)

  • エアロヴェロシティ(12月8日撮影)

2年前の香港スプリントの勝ち馬で、昨年のこのレースは心房細動のため回避を余儀なくされたエアロヴェロシティ(せん8歳)も戦線に戻っており、自身2度目の優勝を狙っての出走となる。今季ここまで2戦して、プレミアボウルでもジョッキークラブスプリントでも3着だった。そのレースぶりから、彼にはまだエネルギーが残っていると感じた。逃げて勝つこともあれば、直線で鋭く追い込んで勝つこともあるという、脚質の自在性は、この馬の大きな武器となっている。

ペニアフォビア(せん5歳)にとって、このレースの参戦は3度目となる。2年前(2014年)は、エアロヴェロシティにクビ差遅れを取って2着。そして昨年は、見事な逃げ切り勝ちを果たした。今季はここまで3戦し、3着以内に入ったのは1戦のみである。現在のこの馬が本調子にあるかどうか、疑いの目で見る者も少なくないが、しかし、この馬を管理するのは、香港スプリント3勝の実績を誇るトニー(アンソニー)・クルーズで、ここにピークを持ってくるにはどうしたらよいかを、よくわかっている調教師である。実際に昨年も、シーズン初めからこのレースを勝つまでに走った3戦は、今年と同様に未勝利であった。歴史は繰り返されるという言い伝えを、頭から否定することは難しい。

  • ペニアフォビア(右、12月8日撮影)

  • ビッグアーサー(12月8日撮影)

  • レッドファルクス(12月8日撮影)

さて、外国から遠征してくる7頭の中で、日本調教馬であるビッグアーサー(牡5歳)とレッドファルクス(牡5歳)は、いずれも敬意をもって迎えられるべき馬たちである。ビッグアーサーは今年3月に高松宮記念(GI)を制したが、10月2日のスプリンターズS(GI)は直線でつまずくアクシデントがあって12着に敗退。スプリントGI春秋連覇を果たすことはできなかった。その後は、香港遠征をにらんで調整されてきたと聞く。この馬が本領を発揮すれば、他の馬たちにとっては危険な存在となるだろう。レッドファルクスは、スプリンターズSを含めて、香港に向かう前の3レースを3連勝している。ここ2戦この馬の手綱を取っているイタリア人騎手のミルコ・デムーロとは、相性が抜群に良いようだ。

  • 文:Bart Vanders
  • 訳:合田直弘

Bart Vanders(バート・ヴァンダース)

バート・ヴァンダースは、競馬メディアに身を置いて20年以上になる。そのほとんどは、アップルデイリーの看板記者として過ごした歳月だが、今季の彼は新たなスタートを切った。シンタオ・デイリーに移籍したのである。海外取材の経験も豊富で、北米、シンガポール、フランス、ドバイ、そして日本に出かけ、ブリーダーズカップ、ドバイワールドカップ、安田記念などを取材している。ちなみに、日本でお気に入りの競馬場は、阪神と園田とのこと。かつてはマカオで騎手エージェントをやっていた時期もあり、現在は、マカオと香港の競馬サークルの橋渡し役ともなっている。

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