レース概要

日本のホースマンにとって、まだ見ぬ頂となっている芝2400m路線の世界最高峰

凱旋門賞は、第一次世界大戦後の復興ムードにあった1920年に創設された。

創設の目的は「フランス産馬の質の高さをアピールする」こと。当時のフランスでは春のパリ大賞(当時は芝3000m、現在は芝2400mで行われている)が高い評価を受けていたが、このレースは3歳限定戦。秋にはコンセイユミュニシパル賞(現:コンセイユドパリ賞)という古馬混合の芝2400m戦もあったが、こちらは過去の実績によって斤量が決まる別定戦だった。どちらも欧州ナンバーワンを決める舞台としてふさわしくはなく、そこで新設されたのが凱旋門賞だったというわけだ。出走条件は3歳以上の牡馬と牝馬。せん馬の出走を禁じたのは、優秀な繁殖馬を選定するという意味合いを持たせるためで、今もこのルールは維持されている。

なお、レース名の凱旋門とは、皇帝ナポレオン1世がアウステルリッツの戦いに勝利した記念に今のシャルル・ド・ゴール広場に建設を命じた、かの有名なエトワール凱旋門のこと。凱旋門賞の優勝トロフィーはエトワール凱旋門をかたどったものになっており、レース当日にはパドック近くに展示。ファンも間近で見ることができる。

凱旋門賞が、現在のような芝2400m路線の世界最高峰のレースとして国際的にも極めて高い評価を受けるようになったのは1950年代以降のことである。

創設当初はパリ大賞の半額程度の優勝賞金だったのだが、国営宝くじとタイアップした1949年に一気に前年の5倍にまで引き上げられてヨーロッパ最高賞金レースの座に就くと、1955、56年にはイタリアが誇る16戦無敗の名馬リボーが2連覇を達成し、1965年には今もなおフランス史上最強馬といわれるシーバードが圧勝するなど競馬史に名を残す名馬が相次いで優勝。チャンピオン決定戦としての地位を確固たるものとした。

その名声は、現在でもフランスはもちろんのこと、世界中のホースマンを魅了し続けており、近年では、実現こそしなかったものの、2007年のアメリカ2冠馬カーリンが2008年に挑戦を表明したこともあったほど。日本馬もその頂点を目指して、これまでのべ19頭が参戦したが、残念ながら1999年のエルコンドルパサー、2010年ナカヤマフェスタ、そして2012、13年のオルフェーヴルの2着が最高。これまでドバイワールドカップや香港カップなど世界で多くのG1を手中に収めてきたが、日本ダービーと同じ芝2400mで争われる世界最高峰のレースを制することこそが、日本のホースマンの悲願となっている。

なお、今年の凱旋門賞はロンシャン競馬場で改修工事が行われているため、仏ダービー(ジョッキークラブ賞)や仏オークス(ディアヌ賞)の舞台として知られるシャンティイ競馬場での開催となる。総賞金はヨーロッパ最高の500万ユーロ(約5億5000万円※)を誇る。

※1ユーロ=110円で換算

文:秋山響(TPC)

データ分析

過去10年の凱旋門賞の結果から、レースの傾向を徹底分析!

牝馬の活躍が目立つ

過去10年の凱旋門賞の性別成績を調べると、優勝馬こそ5頭ずつで互角だが、率の上では勝率、連対率、3着内率の全てで牝馬が大きくリードしている。昨年は牡馬が1〜3着を占めたものの、僅差の4着は牝馬のトレヴだった。2011〜14年にかけては牝馬が4連覇を果たし、特に2011年には上位3着を独占(1着デインドリーム、2着シャレータ、3着スノーフェアリー)している。牝馬から目が離せないレースと言えるだろう。〔表1〕

※表は横にスクロールすることができます。

〔表1〕
性別成績(過去10年)
性別 1着 2着 3着 4着以下 合計 勝率 連対率 3着内率
5 8 8 103 124 4.0% 10.5% 16.9%
5 2 3 28 38 13.2% 18.4% 26.3%
2008年は3着同着
せん馬の出走は不可
4着以下には、「失格」2頭(2006年ディープインパクト、2010年プラントゥール)を含む

近年は5歳以上馬の優勝なし

過去10年の凱旋門賞の成績を年齢別にまとめると、優勝馬は全て3歳馬(7勝)か4歳馬(3勝)だった。5歳以上馬の優勝は2002年のマリエンバード(5歳)が最後で、それ以前だと、1988年のトニービン(5歳)まで遡る。勝ち馬を探すなら、3歳馬と4歳馬からピックアップしたい。なお、優勝馬こそ輩出していないものの、6歳馬は6頭が出走して2着に2頭(2006年プライド、2009年ユームザイン)入っている。“2着候補”という意味では狙い目と言えるかもしれない。〔表2〕

※表は横にスクロールすることができます。

〔表2〕
年齢別成績(過去10年)
年齢 1着 2着 3着 4着以下 合計 勝率 連対率 3着内率
3歳 7 1 7 56 71 9.9% 11.3% 21.1%
4歳 3 4 3 45 55 5.5% 12.7% 18.2%
5歳 0 3 1 24 28 0% 10.7% 14.3%
6歳 0 2 0 4 6 0% 33.3% 33.3%
7歳以上 0 0 0 2 2 0% 0% 0%
2008年は3着同着
4着以下には、「失格」2頭(2006年ディープインパクト、2010年プラントゥール)を含む

地元フランス勢が優勢

過去10年の凱旋門賞の調教国別成績を見てみると、地元フランス勢が5勝と活躍。近10年では、全ての年で最低1頭は3着以内に入っており、フランス勢は馬券から外せない存在と言えるだろう。その他の国では、イギリス、ドイツ、日本が3着内率でフランスを上回っている。また、アイルランドは2勝(2007年ディラントーマス、2009年シーザスターズ)を挙げているものの、連対率、3着内率ではやや見劣る数字となっている。なお、過去10年のみならず、凱旋門賞94回の歴史の中で、ヨーロッパ調教馬以外の優勝はまだない。〔表3〕

※表は横にスクロールすることができます。

〔表3〕
調教国別成績(過去10年)
調教国 1着 2着 3着 4着以下 合計 勝率 連対率 3着内率
フランス 5 4 7 63 79 6.3% 11.4% 20.3%
イギリス 2 3 2 21 28 7.1% 17.9% 25.0%
アイルランド 2 0 1 26 29 6.9% 6.9% 10.3%
ドイツ 1 0 1 6 8 12.5% 12.5% 25.0%
日本 0 3 0 10 13 0% 23.1% 23.1%
その他 0 0 0 5 5 0% 0% 0%
2008年は3着同着
4着以下には、「失格」2頭(2006年ディープインパクト、2010年プラントゥール)を含む
S.ビン・スルール調教師の管理馬は、イギリス調教馬扱いとした

G1優勝実績に注目

過去10年の凱旋門賞で3着以内に入った馬の、「その時点におけるG1優勝実績」 を調べたところ、3着以内馬31頭中26頭にG1優勝経験があった。特に優勝馬は、2012年のソレミアを除く9頭がG1優勝実績を持っていた。G1未勝利馬は割引が必要だろう。詳しく見ていくと、G1優勝実績があった26頭は全て2100m以上の距離のG1を勝利していた。また、26頭の優勝していたG1レースの内訳では、仏オークス(芝2100m)とパリ大賞(芝2400m)がそれぞれ4回(頭)ずつで最多となっている。この2レースの勝ち馬が出走してくるようなら、注目したい。〔表4〕

※表は横にスクロールすることができます。

〔表4〕
凱旋門賞3着以内馬のG1優勝実績(過去10年)
年度 着順 馬名 G1優勝実績
06年 1着 レイルリンク(パリ大賞 優勝馬) パリ大賞
2着 プライド サンクルー大賞
3着 ハリケーンラン キングジョージ6世&クイーンエリザベスS
07年 1着 ディラントーマス 愛チャンピオンS
2着 ユームザイン オイロパ賞
3着 サガラ なし
08年 1着 ザルカヴァ(仏オークス 優勝馬) ヴェルメイユ賞
2着 ユームザイン サンクルー大賞
3着 ソルジャーオブフォーチュン コロネーションC
イッツジーノ なし
09年 1着 シーザスターズ 愛チャンピオンS
2着 ユームザイン サンクルー大賞
3着 キャバルリーマン(パリ大賞 優勝馬) パリ大賞
10年 1着 ワークフォース 英ダービー
2着 ナカヤマフェスタ 宝塚記念
3着 サラフィナ(仏オークス 優勝馬) 仏オークス
11年 1着 デインドリーム バーデン大賞
2着 シャレータ なし
3着 スノーフェアリー 香港カップ
12年 1着 ソレミア なし
2着 オルフェーヴル 宝塚記念
3着 マスターストローク なし
13年 1着 トレヴ(仏オークス 優勝馬) ヴェルメイユ賞
2着 オルフェーヴル 宝塚記念
3着 アンテロ 仏ダービー
14年 1着 トレヴ(仏オークス 優勝馬) 2013凱旋門賞
2着 フリントシャー(パリ大賞 優勝馬) パリ大賞
3着 タグルーダ キングジョージ6世&クイーンエリザベスS
15年 1着 ゴールデンホーン 愛チャンピオンS
2着 フリントシャー(パリ大賞 優勝馬) ソードダンサーS
3着 ニューベイ 仏ダービー
複数G1優勝馬は、その時点での直近の優勝G1を掲載
2008年は3着同着
パリ大賞 優勝馬
仏オークス 優勝馬

前走6着以下は苦戦!?

過去10年の凱旋門賞で3着以内に入った馬(合計31頭)の前走の着順を調べると、「前走1着馬」が7勝、2着3回、3着4回という圧倒的な好成績を残していることがわかった。「前走1着馬」は信頼できるとみて良さそうだ。また、過去10年では「前走6着以下」から凱旋門賞で3着以内に巻き返した例はない。「前走6着以下」の馬は軽視しても良いだろう。〔表5〕

文:秋山響(TPC)

※表は横にスクロールすることができます。

〔表5〕
凱旋門賞3着以内馬の前走の着順(過去10年)
前走の着順 凱旋門賞の着順
1着 2着 3着
1着 7 3 4
2着 0 2 5
3着 1 4 2
4着 1 1 0
5着 1 0 0
6着以下 0 0 0
2008年は3着同着

シャンティイ競馬場・芝2400m

ご注意

当コーナーの情報は、登録情報を基に制作されております。競走データは公式データと照合し、それ以外の表記は主に現地報道を参考に制作しております。出走回避・出走取消などによりレースに出走しない可能性がございます。また、当コンテンツの内容においては、JRAが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。

ページトップへ戻る
表示モード: