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競馬場・コース紹介

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パリロンシャン競馬場

1857年に開設されたパリロンシャン競馬場は世界で最も優雅とも言われる競馬場である。世界中のホースマン、競馬ファンにとっての憧れの競馬場であり、フランスで開催される平地G1・28競走のうち実に17競走もの舞台となる。凱旋門賞を含む8つのG1競走が土日の2日間で開催される凱旋門賞ウィークエンドの他、シーズン最初の平地G1となるガネー賞、革命記念日に行われる3歳G1のパリ大賞、日本の皐月賞、桜花賞に相当するプールデッセデプーラン、プールデッセデプーリッシュなど多くのビッグレースが争われる。

パリ16区の西部に広がるブローニュの森にあり、市内のエトワール凱旋門からはわずか5キロメートルという立地。ポルトマイヨーの交差点から車を使えば10分程度と交通の便も良い。

競馬場の名称は従来ロンシャン競馬場だったが2015年の凱旋門賞終了後に1億4000万ユーロ(当時のレートで約185億円)の総工費をかけた改修工事が実施され、スタンド、パドック、検量室など多くの施設がリニューアル。その際、正式名称も花の都パリにあるイメージを鮮明に打ち出すため、パリロンシャン競馬場に改められた。絢爛たる新スタンドは黄金色を基調としたモダンなデザインとなり、上部が突き出した斬新なフォルムが人々の目を奪う。このスタンドは高松宮殿下記念世界文化賞を受賞しているフランス人建築家のドミニク・ペロー氏が設計した。

芝コースは右回りで、1周2750メートルの広大な外回りコースの他、1周2500メートルの中回りコース、1周2150メートルの小回りコースがあり、他にも直線だけの1000メートルコース、第3コーナー付近の引き込み線からスタートする1400メートルコースも備わり、合計5つのコースがある。日本馬ではアグネスワールドが1999年のアベイドロンシャン賞でG1制覇を飾っている。

改修後のコースの変更点は、通常のゴールから約450メートルの地点にオープンストレッチと呼ばれる新型仮柵が設置されたことが挙げられる。オープンストレッチはイギリスや南アフリカの一部競馬場でも導入されている仮柵で、直線の入り口あたりでインコースに走路を生み出すことにより馬群を横に広げてバラけさせ、出走各馬の進路をスムーズに確保する狙いがある。これにより後方待機勢の馬たちも力を発揮しやすくなり、従来のレース展開が大きく変化。各馬がのびのび走れるようになって、よりフェアなレースが繰り広げられるようになった。オープンストレッチは開催により使用する日としない日がある。

気候の良い春の時期には、フランスで賭けを意味するJeuの複数形のJeuxと、木曜日を意味するJeudiをかけた造語で「Jeuxdi」と名付けられた薄暮競馬が開催されるようになり、こちらもファンの人気を博している。

文:沢田 康文
(2023年9月現在)

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パリロンシャン競馬場芝2400メートル

パリロンシャン競馬場 コース図

凱旋門賞は芝2400メートルの外回りコースを使用して行われ、レースはスタンドから見て左奥にある風車の付近に置かれたゲートから発走する。スタート直後の約400メートルは平坦で、向正面では最大斜度2.4パーセントの上り坂が続く。3コーナーを過ぎてからは下りに転じ、1000メートルから1600メートル付近までは600メートル進む間に10メートルを下がるコース設計になっている。その後、競馬場の名物であるフォルスストレート(偽りの直線)と呼ばれる直線を250メートルほど走り、最後の攻防が繰り広げられる実際の直線は平坦でその距離は東京競馬場とほぼ同じ533メートル。

10メートルの高低差はJRAでもっとも勾配のある中山競馬場(5.3メートル)のほぼ倍に相当する。スタート直後の密集した馬群の中でのポジション争いはし烈で、勝つためには前半の折り合いも大切。行き脚のつきやすい下り坂でもゴールまで脚を温存するためリズムよく走ることが求められ、人馬の呼吸が勝敗を分けるポイントとして挙げられる。

パリロンシャン競馬場での凱旋門賞のレースレコードは、2011年にドイツのデインドリームが記録した2分24秒49。道悪の場合は時計が掛かり、例えば不良馬場だった2020年のレースを優勝したソットサスの勝ち時計は2分39秒30だった。

文:沢田 康文
(2023年9月現在)

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パリロンシャン競馬場 紹介動画(2019年制作)

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