海外競馬発売

競馬場・コース紹介

競馬場・コース紹介

シャンティイ競馬場

2016年に続きロンシャン競馬場がスタンド改修工事で閉場中のため、第96回凱旋門賞(2017年)はシャンティイ競馬場で開催される。凱旋門賞がロンシャン以外で行われるのは第二次世界大戦の影響によりルトランブレー競馬場で代替された1943、1944年、そして昨年を加えて史上4度目のことだ。

シャンティイ競馬場は毎年5月から6月にフランスのダービー(ジョッキークラブ賞。G1)、オークス(ディアヌ賞。G1)が行われる舞台。1719年に建設された風格ある大厩舎と映画『007』にも出てきたシャンティイ城を借景とした競馬が大変美しく、世界一優雅な競馬場のひとつとして数えられている。

1833年の秋、フランス馬種改良奨励協会の面々はシャンティイの芝生の素晴らしい弾力性に気づき、この地に競馬場を設けようと計画した。これらの領地は代々のモンモランシー家とコンデ家のもので、競馬、調教、厩舎の設置、および生産のための敷地は十分にあった。競馬開催をシャンティイの街も歓迎し、第1回のレース当日(1834年5月15日)は約3000人の観衆が集まったとされる。すなわちシャンティイこそはフランスにおける現存する最古の競馬場となっている。

コースはロンシャン競馬場と同じ右回り。芝コースは外回りコース2400メートル(ゴール前直線約600メートル、高低差10メートル)、内回りコース2150メートル(ゴール前直線約550メートル、高低差10メートル)、円形コース、直線コース1200メートルの4つで構成されており、さらに芝コースの内側には2011年に完成したばかりのポリトラック素材のオールウェザーコースがある。芝のレースのゲート位置は13か所設置可能で、施行距離は1000メートルから4800メートルと幅広い。

パリから電車で約25分、車では約1時間程度と交通の便も良く、シャルル・ド・ゴール国際空港からも30キロ程度という立地。フランスでは多くの女性が着飾って入場するディアヌ賞の人気が大変高く、例年平地競馬では凱旋門賞に次ぐ年間2番目の観客動員数を誇っている。通常の年間スケジュールはG1が3レース、G2が3レース、G3が8レースというもの。

シャンティイの森の中にはフランスギャロの管理する雄大な調教センターがあって、そこではおよそ3000頭のサラブレッドが様々なコースを利用して、出走へ向けて日々調教されている。また競馬場のコースも毎週火曜日に調教用として開放されている。シャンティイの調教場に足を踏み入れれば、鬱蒼とした森の中のあちこちからサラブレッドの蹄の音が聞こえてくる。そこに立つ大樹の幹の太さがそのままフランス競馬の歴史を物語る。ほとんどのトップジョッキーと調教師が住まいをここに構えているフランス競馬の中心地であり、シャンティイの街はさしずめ“フランス競馬界の総本山”といった特別な場所となっている。

  • シャンティイ競馬場 イメージ1
  • シャンティイ競馬場 イメージ2
  • シャンティイ競馬場 イメージ3

シャンティイ競馬場芝2400m

シャンティイ競馬場 コース図

2017年の凱旋門賞はシャンティイ競馬場の外回りコース・芝2400メートルによって争われる。スタート地点はゴール板を過ぎた1コーナー奥の直線コース上。スタート直後のコーナーは外枠の馬が先にカーブを迎えるというトリッキーな形に造られており、特徴的になっている。その後はほぼ平坦の直線を大厩舎のある向正面に向けて走っていくコース設計。壮観な大厩舎の前からは少しずつ下り坂となっているが、この地点に一か所、ゲートの牽引車や競馬場の従業員の車両が通行するための切れ目があり、小さなチェックポイントと言える。3コーナーからは傾斜の大きなダウンヒルで、3コーナーと4コーナーの中間地点で下り切ると今度は一転して上り坂が待ち構えており、直線コースへと向かっていく。直線距離は約600メートル。長く続く上り坂となっており、ゴール前の残り約250メートルはほぼ平坦となっている。

コース全体の高低差は10メートルで、この数字はロンシャン競馬場と同じ。JRAでもっとも高低差のある中山競馬場が5.3メートルということを踏まえれば、経験がない日本馬にとってはかなりの高低差といえるだろう。

最後の直線に入って少し行ったところにメールマリー(Mere Marie)と呼ばれるチャペルがあり、競馬場のシンボルとなっている。古くからフランスのジョッキーたちの間にはこの地点まで仕掛けることはご法度とする言い伝えがあるそうで、すなわち坂がありパワーの必要な直線まで無駄な動きは禁物だ。”谷”とも形容される3コーナーから4コーナーの下り・上りでペースを守り、スタミナを温存することが勝利へのポイントとなっている。一方で、「勝負所では置かれずに下り坂を利用してスピードに乗りながら直線を迎えることが大切」と語るトップジョッキーもいて、鞍上の経験値が問われるコースとも言えそうだ。

凱旋門賞の時季のフランスは雨季にあたるため馬場の悪くなってしまう年も多いが、シャンティイ競馬場は隣接するシャンティイ城の建設のため(馬場の)地下の石が採掘されており、ロンシャン競馬場と比較すると水はけが良いという特徴がある。芝は糸くずのような地下茎が密集する洋芝で日本と比較すると重いが、良馬場で行われた2013年のディアヌ賞(仏オークス。G1)では、トレヴ(2013年、2014年の凱旋門賞を連覇した名牝)が芝2100メートルで2分03秒77という世界レコードを記録している。

競馬場の最大の特徴としてはやはり3コーナーから4コーナーのアップダウンが挙げられ、またロンシャン競馬場との違いとしては直線の坂の有無が挙げられるだろう。4コーナーの角度もきついため、外に振られやすく、直線を向くときに膨れずにぴったりと回ってくることも勝敗を分ける要素のひとつとなる。直線が長いので各騎手がどこで仕掛けるかというタイミングもレース観戦の見どころのひとつ。また凱旋門賞は多頭数で争われる年が多いため、スタート後の熾烈(しれつ)なポジション争いも人馬にとっての難所と言えるだろう。

今年の凱旋門賞で使用されるコースは2004年までジョッキークラブ賞(仏ダービー。G1)が開催(2005年以降は芝2100メートルで開催)されていた由緒あるコースであり、そのためシャンティイの外回りコースは「Piste du Jockey Club」(ジョッキークラブ賞のコース)の別名も持っている。芝2400メートルのレコードタイムは1986年のジョッキークラブ賞でベーリングが記録した2分24秒1が長年残っていたが、昨年の優勝馬ファウンドが2分23秒61をマークし、これを30年ぶりに更新した。

文:沢田 康文

  • 馬場の切れ目

  • メールマリー

  • 直線の上り坂

シャンティイ競馬場 紹介ムービー

ページトップへ戻る
表示モード: