「ぼくはハイセイコーだぞォ」
  道ばたで駈けっこをする男の子たちの中で、足の速い子はそう叫びながら仲間に差をつけていた。ハイセイコー、ハイセイコー。競馬に興味のない人も、ハイセイコーという馬がいるのを知っていた。
 大井で6戦6勝。2着馬との差を合計すると56馬身。そのハイセイコーが中央に来た初戦が弥生賞。中山競馬場に12万人が詰めかけた。ハイセイコーを見るためだったろう。昭和48(1973)年のことだ。
 前年に「日本列島改造論」を掲げ、エリートでないのに天下を取った田中角栄と、大井から来て弥生賞、スプリングS、皐月賞、NHK杯と、中央のエリート馬を連破するハイセイコーとをかさねていた庶民も多かったにちがいない。社会現象とも言える異常人気だった。
 ファンはハイセイコーの負ける姿を想像出来なくなっていたが、しかし、タケホープがいたのである。ダービー、菊花賞、アメリカJCCと、タケホープはハイセイコーを負かすためにいるような馬だった。
 負けたからといってハイセイコーの人気が落ちたわけではなく、どのレースも1番人気だ。タケホープに負けるのは長距離。ハイセイコーの母の父カリムが短距離系だから、長距離でなければ負けるものか。ファンはなんとしても、ハイセイコーがタケホープをやっつけてくれないことには気がすまない。
 チャンス到来、昭和49(1974)年の中山記念。1800メートルなら勝たねばならぬハイセイコーで、タケホープも逃げずに出走した。
 ここでタケホープに負けたら顔色なし。ファンの祈りが通じたか、ハイセイコーが得意の不良馬場になった。先行するトーヨーアサヒを早めに交わし、直線で後続との差は広がるばかり、ハイセイコーの大差勝ち。タケホープは3着で、スタンドから声が飛んだ。
「ハーイ! ダイセイコー! ありがとう!」
(吉川良)

ハイセイコー
牡馬 鹿毛

昭和45年3月6日生まれ
馬主 ホースマンクラブ
チャイナロック
1953 栃栗毛
Rockefella
1941 黒鹿毛
May Wong
1934 栗毛
ハイユウ
1961 黒鹿毛
カリム
1953 鹿毛
ダルモーガン
1950 黒鹿毛

全成績 通算 公営6戦6勝 中央16戦7勝
  年月日 レース名 距離 着順 騎手 タイム 調教師
01 1972.07.12 大 井 3歳未出走 D1000 1 辻野 豊 R 59.4 伊藤 正美
02 1972.07.26 大 井 3歳53万上 D1000 1 福永 二三雄 1.00.5 伊藤 正美
03 1972.09.20 大 井 秋草特別 D1200 1 福永 二三雄 1.12.4 伊藤 正美
04 1972.10.09 大 井 ゴールドジュニアー D1400 1 福永 二三雄 R 1.24.9 伊藤 正美
05 1972.11.11 大 井 白菊特別 D1400 1 高橋 三郎 1.25.8 伊藤 正美
06 1972.11.27 大 井 青雲賞 D1600 1 高橋 三郎 1.39.2 伊藤 正美
07 1973.03.04 中 山 弥生賞 1800 1 増沢 末夫 1.50.9 鈴木 勝太郎
08 1973.03.25 中 山 スプリングS 1800 1 増沢 末夫 1.51.0 鈴木 勝太郎
09 1973.04.15 中 山 皐月賞 2000 1 増沢 末夫 2.06.7 鈴木 勝太郎
10 1973.05.06 東 京 NHK杯 2000 1 増沢 末夫 2.02.3 鈴木 勝太郎
11 1973.05.27 東 京 東京優駿 2400 3 増沢 末夫 2.28.7 鈴木 勝太郎
12 1973.10.21 京 都 京都新聞杯 2000 2 増沢 末夫 2.08.4 鈴木 勝太郎
13 1973.11.11 京 都 菊花賞 3000 2 増沢 末夫 3.14.2 鈴木 勝太郎
14 1973.12.16 中 山 有馬記念 2500 3 増沢 末夫 2.36.6 鈴木 勝太郎
15 1974.01.20 東 京 アメリカジョッキークラブC 2400 9 増沢 末夫 2.29.6 鈴木 勝太郎
16 1974.03.10 中 山 中山記念 1800 1 増沢 末夫 1.52.1 鈴木 勝太郎
17 1974.05.05 京 都 天皇賞(春) 3200 6 増沢 末夫 3.23.6 鈴木 勝太郎
18 1974.06.02 京 都 宝塚記念 2200 1 増沢 末夫 R 2.12.9 鈴木 勝太郎
19 1974.06.23 中 京 高松宮杯 2000 1 増沢 末夫 2.00.4 鈴木 勝太郎
20 1974.10.13 京 都 京都大賞典 2400 4 増沢 末夫 2.30.3 鈴木 勝太郎
21 1974.11.09 東 京 4歳上オープン 1800 2 増沢 末夫 1.50.0 鈴木 勝太郎
22 1974.12.15 中 山 有馬記念 2500 2 増沢 末夫 2.36.7 鈴木 勝太郎

(年齢は旧表記)





ハイセイコー号 栄光の軌跡
(協力:フジテレビ、関西テレビ)

01 サクラローレル
02 シンザン
03 リユウフオーレル
04 タケホープ
05 コレヒデ
06 エルコンドルパサー
07 オートキツ
08 タケシバオー
09 ハイセイコー
10 サクラスターオー
11 メイズイ
12 マヤノトップガン
13 オンスロート
14 コダマ
15 メジロラモーヌ
16 トウショウボーイ
17 ハクチカラ
18 イナリワン
19 カブラヤオー
20 グランドマーチス
21 エアグルーヴ
22 ミスターシービー
23 ホマレボシ
24 ミホノブルボン
25 ウイルデイール
26 テイエムオペラオー
27 マルゼンスキー
28 セイユウ
29 ダイナガリバー
30 オンワードゼア
31 ホウヨウボーイ
32 メジロマックイーン
33 グリーングラス
34 ジャングルポケット
35 シンボリルドルフ
36 アサカオー
37 ヒカリデユール
38 セントライト
39 ビワハヤヒデ
40 タイキシャトル
41 ハクリヨウ
42 トウメイ
43 ナリタブライアン
44 タマモクロス
45 カネミノブ
46 スピードシンボリ
47 オグリキャップ
48 トウカイテイオー
49 キタノカチドキ
50 メイヂヒカリ
51 イシノヒカル
52 テンポイント
 
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