顕彰馬 紹介

流星の貴公子 テンポイント

流星の貴公子 テンポイント  昭和50年12月7日。阪神競馬場で行われた西の旧3歳王者決定戦・阪神3歳Sを、圧倒的1番人気の栗毛馬が7馬身差で快勝した。不良馬場で刻んだ勝利は無傷の3勝目。当時、関東馬は関東のレースに、関西馬は関西のレースに出走するのが常で、各地区を代表する実力馬はそれぞれの誇りをかけて大レースで激突し、雌雄を競っていた。それゆえ応援するファンも今以上に地元意識が強かったが、クラシックと春秋の天皇賞をすべて関東馬にさらわれたこの年は、歯痒い思いを味わっていた。待望の新星誕生に、杉本清アナウンサーの名実況が冴え渡った。「見てくれこの脚、これが関西の期待テンポイントだ!」

 かくして人々の希望の星となったテンポイントは、数奇な運命の下に生まれていた。祖母の丘高は競走名をクモワカといい、桜花賞2着の実績を残したが、馬伝染性貧血感染の疑いによって処分命令を下され、長い年月と裁判の末に繁殖馬としての地位を取り戻した。吉田牧場で母となった丘高は桜花賞馬ワカクモを生み、そのワカクモがコントライトとの間にもうけたのがテンポイントだった。「新聞の活字より大きい、10ポイントの見出しになるような活躍をしてほしい」。馬主の高田久成氏は、そんな願いを馬名に込めていた。

昭和50年★第27回阪神3歳S  旧4歳を迎えると、テンポイントは早々に東上し、関東の素質馬を次々に負かしていった。だがその先には難敵が待ち構えていた。皐月賞は後に駿馬として名を成すトウショウボーイ、不運にも骨折に見舞われたダービーはクライムカイザー、そして菊花賞は晩成のグリーングラスが戴冠。有馬記念も力走及ばず、トウショウボーイの軍門に下った。ようやく大望叶ったのは旧5歳の天皇賞(春)。ダービー馬と菊花賞馬の追撃を交わし、場内の声援に応えるように、無冠返上のゴールに飛び込んだ。続く宝塚記念はトウショウボーイに及ばなかったが、充実の秋を経て、有馬記念で宿敵を撃破。負けられない戦いを制したテンポイントは昭和52年度の年度代表馬に選ばれた。次なる目標は海外。関西期待の星は、いつしか日本全国の希望へと成長を遂げていた。

 昭和53年1月22日。悲劇の時は訪れた。雪の舞う京都競馬場で行われた日本経済新春杯は、66.5キロのハンデを背負うテンポイントの壮行レースとなる筈で、凍る寒さを吹き飛ばす快勝を大勢のファンが願っていた。しかしテンポイントは4コーナーで故障を発症。左後肢に重度の骨折を負い、懸命の治療も虚しく3月5日に永眠した。喜びも悲しみも大勢の人々と分かち合った名馬は、全国のファンが寄せた哀悼のメッセージと、溢れる愛に包まれて天に還っていった。栗東の診療所が総力をあげた43日間の治療記録は、獣医学の進歩に寄与し、後に多くのサラブレッドの命を救っている。

血統表

テンポイント
牡 栗毛 
昭和48年4月19日生
早来・吉田牧場生産
調教師 小川佐助(栗東)
馬主 高田久成氏

コントライト
1968 鹿
Never Say Die Nasrullah
Singing Grass
Penitence Petition
Bootless

ワカクモ
1963 鹿
カバーラツプ二世 Cover Up
Betty Martin
丘高 セフト
月丘

成績表

通算 18戦11勝

年月日 レース名 距離 着順 タイム 斤量 騎手
昭50.8.17 函館 新馬 1000 1 R58.8 52 鹿戸  明
50.11.9 京都 もみじ賞300万下 1400 1 1:25.4 53 鹿戸  明
50.12.7 阪神 阪神3歳S 1600 1 1:37.1 54 鹿戸  明
51.2.15 東京 東京4歳S 1800 1 1:49.6 56 鹿戸  明
51.3.28 中山 フジテレビ賞スプリングS 1800 1 1:52.4 56 鹿戸  明
51.4.25 東京 皐月賞 2000 2 2:02.4 57 鹿戸  明
51.5.30 東京 東京優駿 2400 7 2:29.6 57 武  邦彦
51.10.17 阪神 京都大賞典 2400 3 2:27.4 54 鹿戸  明
51.11.14 京都 菊花賞 3000 2 3:10.3 57 鹿戸  明
51.12.19 中山 有馬記念 2500 2 2:34.2 54 鹿戸  明
52.2.13 京都 京都記念(春) 2400 1 2:27.2 59 鹿戸  明
52.3.27 阪神 鳴尾記念 2400 1 2:32.6 61 鹿戸  明
52.4.29 京都 天皇賞(春) 3200 1 3:21.7 58 鹿戸  明
52.6.5 阪神 宝塚記念 2200 2 2:13.1 55 鹿戸  明
52.10.16 京都 京都大賞典 2400 1 2:27.9 63 鹿戸  明
52.11.12 東京 オープン 1800 1 1:47.5 60 鹿戸  明
52.12.18 中山 有馬記念 2500 1 2:35.4 56 鹿戸  明
53.1.22 京都 日本経済新春杯 2400 競走中止 66.5 鹿戸  明

※レース名は当時の表記による

主な産駒

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  • 平成2年顕彰馬選出

2012.12.8 レーシングプログラム掲載

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