顕彰馬 紹介

最強の戦士 シンザン

最強の戦士 シンザン  東海道新幹線の開業、東京オリンピック開催と、戦後の日本社会の復興を象徴する2つの出来事に沸いた昭和39年。折しもハクチカラによる日本調教馬初の海外重賞制覇を機に、競馬サークルのなかでも世界を目標に掲げる機運が高まっていた。さらに強く、さらに上へ。シンザンが戦後初の三冠馬に輝いたのは、そうした時代のことである。
 同馬を手掛けた武田文吾調教師は、頭脳明晰にして探究心旺盛、俳句も嗜む趣味人であり、手塩にかけた名馬の強さを「コダマが剃刀なら、シンザンは鉈の切れ味」と、名言をもって評した。脚の蹴りが強く、走るたびに前後の蹄が交突してしまう愛馬のために手製の「シンザン鉄」(※)を考案したのも武田師で、これがなければシンザンの出世はなかったと言われている。そんな伯楽のもとでシンザンは皐月賞、ダービーを勝ち、二冠を達成。その年の猛暑で酷い夏負けに見舞われ、体調が戻らないまま秋2戦は連続2着に負けたが、菊花賞では皐月賞3着、ダービー2着のウメノチカラを激闘の末に下し、セントライト以来、史上2頭目の三冠制覇という偉業を成し遂げた。

昭和39年★第31回東京優駿  夏のダメージと菊花賞の疲労が尾を引き、翌年は5月まで始動が遅れたが、宝塚記念、目黒記念、天皇賞(秋)に優勝。有馬記念では逃げるミハルカスの鞍上・加賀武見騎手の奇策に嵌り、最後の直線で大外に振られてしまったが、距離損をものともしない勢いで外ラチ沿いを伸び、当時、五大競走と呼ばれた最高峰のレース(皐月賞、ダービー、菊花賞、天皇賞、有馬記念)をすべて制した最初の馬となった。マスコミから「五冠馬」と称されたのもシンザンが初めてのことである。

昭和40年★第10回有馬記念  有馬記念を最後に、シンザンは浦河・谷川牧場で種牡馬入りした。海外遠征の可能性を問われた武田師は、「名馬は引き際が肝心。おまけに特殊な蹄鉄の要る馬が、外国へ行っていい結果が出ると思うかい?」と答えたという。19戦15勝・2着4回。連対率10割の驚異的な数字に加え、本番はひとつも取りこぼすことがなかった。引退後は輸入種牡馬による攻勢のなか、逆風にも負けずコンスタントに活躍馬を出し、産駒から二冠馬ミホシンザン、菊花賞馬ミナガワマンナ、母の父としては菊花賞馬ハシハーミットらを出した。平成8年、最長寿記録の35歳で大往生。日本のホースマンにとって「シンザンを超えろ」は、長きに渡る合言葉でもあった。
※後肢用の蹄鉄の爪先部分には保護用の鉄製カバーをつけ、これと交突する前肢の蹄鉄に補強のT字鉄を入れたもの。

血統表

シンザン
牡 鹿毛
昭和36年4月2日生
浦河・松橋吉松生産
調教師 武田文吾(京都)
馬主 橋元幸吉氏

ヒンドスタン
1946 黒鹿
Bois Roussel Vatout
Plucky Liege
Sonibai Solario
Udaipur

ハヤノボリ
1949 栗
ハヤタケ セフト
飛竜
第五バツカナムビユーチー トウルヌソル
バツカナムビユーチー

成績表

通算 19戦15勝

年月日 レース名 距離 着順 タイム 斤量 騎手
昭38.11.10 京都 新馬 1200 1 1:13.9 51 栗田 勝
38.11.30 阪神 オープン 1400 1 1:25.7 51 栗田 勝
38.12.14 阪神 三歳中距離特別70万下 1600 1 1:40.0 55 栗田 勝
39. 1. 4 京都 オープン 1600 1 1:42.3 53 栗田 勝
39. 3.29 東京 フジテレビ賞スプリングS 1800 1 1:51.3 55 栗田 勝
39. 4.19 東京 皐月賞 2000 1 2:04.1 57 栗田 勝
39. 5.16 東京 オープン 1800 2 1:50.8 57 栗田 勝
39. 5.31 東京 東京優駿 2400 1 2:28.8 57 栗田 勝
39.10.10 阪神 オープン 1800 2 1:51.6 60 栗田 勝
39.11. 1 京都 京都盃 1800 2 1:52.1 60 栗田 勝
39.11.15 京都 菊花賞 3000 1 3:13.8 57 栗田 勝
40. 5.29 阪神 オープン 1600 1 1:37.7 59 武田 博
40. 6.13 阪神 オープン 1850 1 1:53.7 59 武田 博
40. 6.27 阪神 宝恚L念 2000 1 2:06.3 59 栗田 勝
40.10. 2 阪神 オープン 1850 1 1:54.0 57 武田 博
40.11. 3 東京 目黒記念(秋) 2500 1 2:42.2 63 栗田 勝
40.11.23 東京 天皇賞(秋) 3200 1 3:22.7 58 栗田 勝
40.12.18 中山 オープン 2000 2 2:05.5 60 武田 博
40.12.26 中山 有馬記念 2600 1 2:47.2 56 松本 善登

※レース名は当時の表記による

主な産駒

  • ミナガワマンナ…菊花賞
  • ミホシンザン…皐月賞、菊花賞、天皇賞(春)

2012.1.5 レーシングプログラム掲載

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